秋になると、鮮やかな黄色いイチョウ並木はとてもきれいですよね。街路樹としてもよく植えられており、2007年の国土交通省の調査によれば、街路樹として57万本も植えられているそうで、樹種別では最多本数のようです。
銀杏並木として有名なのは東京の明治神宮外苑や、大阪御堂筋の街路樹ですね。
上を見上げると色鮮やかで美しいイチョウですが、地面を見ると落下した果実(銀杏)が異臭を放っていて不快になりますね。
なぜ銀杏はあんなに臭いのに、街路樹として植えられるのか。そして臭い銀杏を踏んだり鞄についたりした場合に臭いを消す方法について紹介します。
銀杏が臭いのはなぜ?
ギンナンの外側の果肉状の皮に含まれている酪酸(らくさん)とヘプタン酸(エナント酸)という臭いの成分のせいです。
酪酸(らくさん)は、バターやチーズにも含まれている成分で、発酵した臭いがしますね。
ヘプタン酸(エナント酸)は、腐敗物のような臭いで、腐った油のような臭いです。実は人間の足が臭いのもこの成分のせいです。
殻を車や人の足で踏み潰すとこの皮が破れてこの悪臭成分がどばっと放たれ、あの臭いが漂うことになります。
銀杏の臭いは「サルやネズミですら近づかず食べようとしない」と言われているほどです。
なぜ銀杏に悪臭成分が含まれているかについては諸説ありそうです。
1つの説は、一番おいしい時期は、動物に食べられないようにするために、あの強い臭気で防御をしているという説です。
しかし、木が繁殖するためには、鳥や動物がその実を食べて動物の巣に運んだり、糞の中にある種が芽を出して繁殖していくはずなので、臭いで動物を追い払うという説は違うような気がしますね。
もう1つの説は、反対に銀杏のこの腐敗臭は、恐竜が好んで食べる臭いとされているという説です。肉食だからでしょうか。
恐竜は体も大きいので大量に食べて遠くに運んでくれそうですね。
イチョウの歴史は古く世界でもっとも古い樹木のひとつで、恐竜時代から生えていました。
私はこちらの説が有力ではないかと思っています。
氷河期になるとイチョウはほぼ絶滅しました。日本ではふつうに残っていますが、世界的にはかなり珍しくて貴重です。
銀杏は臭いのになぜ植えるの?
街路樹として採用されることが多いイチョウですが、以下の理由から採用されやすいと言われています。
東京都、神奈川県、大阪府の木である
日本を代表する大都市でイチョウの木が自治体の木として採用されているため、街路樹として採用される道路が多いのでしょう。
また、イチョウは江戸時代末期までは世界の中心のヨーロッパではもう絶滅したとみなされ、化石でしか残っていないとされていましが、日本が鎖国を経て開国されたとき、なんとこの島国では普通にイチョウが生えていて、ヨーロッパの学者からすると大発見でした。
そんなわけで、イチョウは日本固有種となり、日本らしさを象徴する木として自治体に採用されやすいのではないかと思います。
木の形が立派で形もきれい
イチョウは高さが10メートル以上にもなり立派です。木の形もまっすぐできれいで、剪定にも強いです。イチョウの葉も鮮やかな黄色できれいで遠くからでも見つけやすく象徴にふさわしいですね。
また、10メートルもあれば葉が通行している人や車の邪魔になることはありませんね。
美しさと実用を兼ね備えている優等生です。
環境汚染や火災に強い
イチョウの木は排ガスなどの環境汚染や火に強いとされています。
イチョウの木は「火事の時に水を吹く」と言われるくらい水分を大量に含んでいて防火に役立つので、昔から神社仏閣にイチョウが植えられていることが多いです。
また、浅草寺の鎮護堂の神木は、東京大空襲の火災から御堂を守ったという樹齢500年のイチョウも有名です。
銀杏の臭いを消す方法
街路樹で出会うことの多いイチョウの木ですが、秋になると銀杏の臭いが気になります。靴で踏みつけてしまったり、鞄についてしまったりした場合、悪臭が残ってしまいます。
まずは、踏みつけてしまったり、付着した銀杏を取り除きましょう。
手で取り除くと手ににおいがついてしまうので、落ちている木の枝やイチョウの葉っぱで取りましょう。取り除ける道具がない場合は、靴なら脱いで地面をたたいて振り落としましょう。
そして、「重曹」を使うと臭いを消すことができます。
重曹には消臭効果があります。
洗濯できる場合
・重曹を銀杏がついている場所にかける
・3時間程度放置する
・重曹を溶かした水にさらに3時間ほどつける
・普通に洗濯する
洗濯できない場合
・キッチンペーパーに重曹をしみこませて臭いの気になる箇所に当てる
・水拭きして重曹を拭きとる
水が一切使えない場合
・ストッキングなどに粉末の重曹を入れ、シミの上に置いて放置する
臭いが漂っている場合
車の中など空気中い悪臭が立ち込めてしまった場合は、炭やコーヒー豆、重曹も消臭効果があるので置いておくと良いです。
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まとめ
いかがでしたか。
イチョウを鑑賞する分にはきれいで良いのですが、実である銀杏のにおいは強烈です。
臭い原因は酪酸(らくさん)とヘプタン酸(エナント酸)という臭い成分のせいです。
においがきついにも関わらず、街路樹として採用されるのは、日本固有の木であることと、見た目が美しく丈夫で管理しやすい木ということ、火災に強いということから採用されることが多いです。
唯一のデメリットであるあの臭いですが、靴や鞄に付着してしまった場合は、重曹を使って消臭しましょう。
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